鈴の音が届く距離で〜始まりの章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第11章 :番外編 夜会❶〜彼女のパートナーは誰?〜
「…そういえば訓練兵に、東洋人の女がいると以前聞いていたな。出かけたのはその女か?それとも…男、じゃねぇよな?」
リヴァイの鋭い瞳に射抜かれ、ペトラの肩がビクッと揺れ…そのまま固まる。
急に部屋の温度が下がった気がして、エルドもブルリと身体を震わせた。
そしてペトラを見て悟る。
(だからペトラの顔色が悪かったのか。何だかヤバイ展開になって来たな…)
「ペトラ…最後まで報告しろ!アイツは誰と、街に出かけた?」
「ッ…あの…リンさんは…身長170cmの男性兵士と2人で、街に出かけたそうです!!」
勢いで言い切った。
その瞬間…部屋の温度が更に下がった。
リヴァイの身体から発する、黒いオーラを感じ…2人は後退る。
エルドは恐る恐る、リヴァイの表情を見てみた。
瞬間、エルドも顔面蒼白になる。
(ヤバイ…ここは危険だ!だが…動けない。)
リヴァイの圧を感じ、2人は動く事が出来ない。
暫く無言が続き…リヴァイがやっと口を開いた。
「報告ご苦労だった。おまえら、今日は助かった。これからの時間は好きに過ごせ…以上だ。」
「「ハッ!」」
やっと身体が動いた2人はビシッと敬礼し、執務室を出て行った。
2人は暫く廊下を速歩きで進み、食堂に辿り着く。
まだ準備中の食堂には、誰もいない。
入口付近の椅子に、ペトラとエルドは脱力し座った。
そして大きなため息を吐く。
「怖かった…」
ペトラは初めてリヴァイの危険なオーラを目の当たりにし、本気で怖がっていた。
「ペトラ…お前は頑張った!あとの事は任せて、今日は早めに休もう。」
エルドは小声でペトラに話しかけ、肩をポンポンと叩くと「はい…」と小声で答えた。
しかし結局グンタとオルオが迎えに来るまで…テーブルに顔を伏せたまま、動けなかったのだった。
(リンが男と出かけただと?!ふざけやがって!まさか…そいつをパートナーにする気じゃねぇよな?)
リヴァイは黒いオーラを纏ったまま、全ての書類を持って執務室を出て行った。