第8章 不可思議
三つも掛け持ちしているのに、休日はすぐやってきた。一番忙しい吹奏楽部も他の学校と比べると活動日が少ないようだ。
「じゃあ行きましょうよ!美容院と~、お洋服見て、それから…。」
カナエがうきうきで計画をたてていた。
私には問題があった。
私は自分の部屋にこもって何とか考えた。
深刻なほどに私はお金がなかった。
「…おばあちゃん、おじいちゃん……!」
両親はお小遣いではなく、ご褒美としてお金をくれた。習い事で良い成績がとれたり、テストの点数が満点だったり。もらえる学も数百円なのでカナエと遊んだだけでもうすっからかんだった。
お年玉は甘えだと言われもらったこともないので貯金はゼロ。肩叩きやお風呂掃除で貯めたお金はいつの間にか親に回収されていた。くそったれ。
「お小遣いくださいッ!!!定期テストで一位とりますからッ!!!」
私が土下座すると、二人はしばらく黙っていたが慌てたように話し出した。
「こらこら、土下座なんてやめてちょうだい。」
「一位なんてとらなくても、お前成績良いじゃないか。」
「お願いします!何でもします!!」
おじいちゃんとおばあちゃんの説得により私は土下座をやめて正座の姿勢になった。
「普通にお願いしてくれたら、普通にあげるわよ。」
「そうだな、お小遣いは必要だし…。そういえば遊びに行くとか言ってたな。」
「……うん。」
しかも美容院とかお金がヤバイ!私は休日に何をするのか全て話した。
「不要なものとはわかっているんだけど…その、興味が全くないわけでもないし、友達が、えっと、折角やってくれるって言っているので…!!」
「……」
おばあちゃんが真面目な顔で私の真正面に座った。
「美容院とか、お洋服のお金は出してあげる。生活に必要なことだもの。それでも足りないお金はお小遣いをやりくりしなさい。」
「ふむ…中学生だろ。月三千円でいいか。」
「多いわ。二千円ね。」
私は二人の会話が終わったあと、土下座でお礼を言った。
やめなさいと言われ床から引き離されるまでその状態は続いた。