第7章 自覚
「!」
黄色テープの向こうから声がした。
「おじいちゃん…」
「あぁ、お前って奴は!!」
おじいちゃんがぎゅうぎゅう抱きついてきた。皆がいるのでやめてほしい。
でも嬉しくて。
私は抱き締め返した。
「ありがとうございます、お巡りさん。孫を見つけてくださって。お電話いただきまして、どうもどうも…。」
おじいちゃんが私から体を離し警察官達と話し込む。
「おばあちゃん、家で待ってるからなぁ。お前先に帰ってなさい。あの子が来てくれてるから一緒にな。今度は拐われないように。」
何だか恐ろしいことを言う。あの子って誰だ?
「よぉ…無事かよ。」
「げ」
不死川実弥だった。
あの親子とおじいちゃん、警察官で話し合っていて私達のことを見ている人はいない。
「いつまでへばってやがる。立てや。」
「……立てない」
「あぁ?どっかヤバイのか。」
実弥がしゃがむ。
私は顔が赤くなっていくのがわかった。
「……腰抜けて力入んない」
実弥は怒りも呆れもしなかった。
私に背中を向けた。
「…何?」
「乗れや」
「えぇ!?」
待って。それ、おんぶってこと?
いくら皆見てないとはいえ、恥ずかしい。
「クラスの奴に会わねえ道通る。乗れ。しゃがんでんのしんどい。」
「……重いとか、言わないでね…」
私は実弥に身を預けた。皆が見ないうちにさっさと去ろうとしてくれたけど、私は無一郎くんが手を振ってるのが見えて少しだけ振り返した。