第7章 自覚
隊士達との訓練を思い出す。
かまえがなってない。右側ががら空き。足が踏ん張れてない。左手が邪魔してる。攻めるだけで守れてない。
懐かしい。懐かしくてしょうがない。
ただ、私との訓練は嫌がられたけど。
「な、何だこいつ…!?」
「全然歯がたたねぇ…」
まぁ、歯がたたれたら鬼殺隊の名折れです。
「……キメ学に宇随以外にこんなやつがいたとは…」
「………まさかとは思いますが、宇随く…宇随先輩を呼び出すためにこんなことを?」
無言でただ睨んできた。
……呆れた。呆れた運命だ、あの四人。たまたま須磨さん、まきをさん、雛鶴さんは引かれ合い三人同時に行動していた。
宇随くんは現世ではヤンキーに分類される。まぁ、あの三人と私はそれに巻き込まれてしまったのだろう。全くもって迷惑な話だ。
宇随くんがあの三人について色々調べたのがばれたんだろうなぁ。全く、人騒がせな。
「霧雨さん、ありがとうございましたっ!!」
「………あの三人には、関わらない方がいいかもしれませんよ。」
私はまだ後ろで震えている三人を見ながら言った。
前世の記憶なんてないのだろう。
「…彼女達は、今生を謳歌しているのですから。それがわかれば良いじゃありませんか。」
私が言うと、宇随くんは少し黙ったが。諦めたように笑った。
「ですね。」
見るだけでいいなんて、嘘ばかりついて。
本当は側にいたかったんでしょう。
宇随くん。
君は、本当に良い旦那さんですね。
「さぁ、寮に帰してあげなくては。宇随くんはあの三人に派手に謝罪してくださいね。」
「もちろん!あ、霧雨さんもちゃんと送ってくんで!」
「……一人で帰りますよ。今日はもう疲れました。」
私は彼らと反対方向を向いて歩きだした。男子高校生達がそそくさと道を譲っていく。