第7章 自覚
「何煽ってんすか!?」
「…すみません、そんなつもりは」
なかったのですが。と言う前に何か飛んできた。……石?
難なくキャッチ。
「……喧嘩をしに来たわけではありません。人を探しています。三人の女学生がここを通ったのを見ませんでしたか?」
「知らねぇなぁ」
トンネルの奥からゾロゾロと出てくる。目を凝らせば、学校の机やら椅子やらがバリケードみたいに乱雑に組み上げられて、その奥から出てきたのだとわかる。
「…こんな人たち現実にいたんですね」
「こりゃそうとうやべぇな」
宇随くんが焦りの声をもらす。
「……ならば帰りますか?」
「気配はどうなってるんすか」
「奥から感じるには感じるんですけど」
姿が見えません、と言う前に。
宇随くんは走り出す。そして奥へと強行突破していく。
乱闘が始まった。
まさかの展開についていけない。
「よく見たらそこそこかわいいじゃねえか!」
なんと私にまで向かってくる。宇随くんがハッとして私を振り返る。
右足で腹を蹴る。
男子高校生はよろめきうずくまった。
私は先ほど投げられた石を思いっきり机のバリケードに投げた。
ガッシャン!と音がしてバリケードが崩れる。そのおかげでやっと見えた。
「須磨!まきを!雛鶴!」
宇随くんが名前を呼ぶ。
三人はガタガタ震えたいたが、その瞬間に呆けたような顔になり、ただボーッと宇随くんを見ていた。
誰だ。あの男は誰だと探るように。
「て、てめええええええええ!!」
男子高校生が私に群がってくる。
私はかわすだけでやり返すことはしなかった。
「宇随くん」
私は彼の元まで駆け寄った。
「頑張って逃げてくださいね」
「はぁ!?」
宇随くんを力付くであの三人の方に突き飛ばした。
「さぁ!私がお相手いたしましょう!」
男子高校生達に声を張り上げた。