第2章 目覚め
「何だぁ、いるんじゃねぇかよぉ。」
「ぎゃあああああああああ!!!!!!!!!!」
不死川くんの登場に叫び狂う。
鍵が開いていたら勝手に入ってくる。えぇ私たちそういう間柄なんです!!
ですが前世の君は私の足元に唾をはくような人だった。その記憶もある今近づけません。
「は?いや、おいどうした??」
「な、何でもありませんよ、不死川くん。」
「敬語ぉ…?不死川くんって…どうした?」
彼はとてつもなく硬いタンスの角で頭を打ったんでしょうか。
前世の彼は私にそんなこと言いませんでした。
「どうしました?いつも通りですよ?」
「どこの角で頭を打った?」
…あ!違った。駄目だー、前世と今世が入り交じってる…!!
いつもどんな風に振る舞っていたかわからない。どうしたらいいかがわからない。
すると突然、実弥ががさりと手に持っていたビニール袋をおとした。
中にはタッパーが入っていた。多分、作りすぎたおはぎでも持ってきてくれたのだろう。いつもそうだった。
「…お前…まさか」
「な、何ですか」
「思い出しやがったのか」
不死川くんが詰め寄る。
「まさか不死川くんもそうなんですか?」
「俺ぁとっくの昔に思い出してんだよぉ。幼稚園ぐらいからな。」
「一応確認しますが、鬼殺隊の記憶でよろしいですか?」
彼は黙って頷く。
「不死川くん以外には?」
「俺以外には知らねぇなぁ。弟たちも思い出してねぇし。」
「そうですか。色々気になることがあるのですが。」
不死川くんが舌打ちをする。私の頬をぎゅっと指でつまむ。
「てめぇは生まれ変わってもそんな腹立つ顔すんのかよおおおおおお」
「やめてくらはい」
「うるせえ何でてめえが思い出すんだ、忘れてろボケェ。」
そんな腹立つ顔とは張り付けたような笑顔のことだろう。前世の私は感情表現が乏しく笑顔しかできなかった。
生まれ変わってもそうだった。『いつもにこにこしてていいわね』って今世では言われているから気にしたことなかったけど。
あの殺伐とした時代では浮いていましたね。