第2章 目覚め
「じゃあ不死川くんも私と同じく詳しいことはわからないのですね。」
「あぁ。」
不死川くんのおはぎと、私がいれたお茶でリビングで話し込んだ。
…思えば彼は前世と変わっていませんねぇ。記憶を取り戻せばそうなりますか。
「現段階で一番の謎があるのですが。」
「何だよ」
「私は生まれたときから君の隣に住んでいます。幼稚園のときに記憶を取り戻したといいましたね。つまり前世の記憶はあったはずです。それなのになぜ私とこうして会話をするのですか?前世の君ならあり得ないことです。足元に唾を吐こうがすれ違い様に舌打ちをしようが、私は気にしませんよ。」
不死川くんが呆れたような顔をする。
「相変わらずペラペラうるせぇな。てめぇが死んだ後「ちょっと待って」」
私は慌てて不死川くんの言葉を遮った。
「あ?聞きたいんじゃねえのか。」
「いえ。私の死後の話は聞きたくありません。何だか、死んだ私に失礼な気がします。」
「………」
不死川くんはじいっと私の顔を見ている。
「すみません、不死川くん。」
「……いや。まぁそうだな。自分の死んだ後っつーのは知りたくねぇな。」
納得してくれた。
そして、その後に約束した。
一つ、他言しないこと。一つ、今まで通り今世の付き合いをしていくこと。一つ、私の死後については語らないこと。
こうして、私達は前世の記憶と付き合っていくことにした。