第2章 目覚め
私はほうきを持ってかまえた。
剣道も何もやったことがないのに、なぜかしっくりとするかまえ方ができた。
「霞の呼吸、壱ノ型」
肺に空気が入っていく。
ちょうど風が吹いて、庭の木から葉が落ちる。
「垂天遠霞ッ!!」
突く。
ちょうど舞い落ちる葉に当たる。
ほうきが葉を貫き穴を開けた。
私は唖然としてそのまま固まった。
……できちゃった…。
ほうきをしまいこんで家の中に戻る。
呼吸の型も何もかも覚えてる。刀の使い方も。体が全部。
そもそもおかしいのだ。だって、なんで前世と名前が一緒なんだ?大正時代にいた霧雨と同一人物か?そもそもそんな人物存在したのだろうか。
もしかして世界軸が違うのかも。ある世界軸の私は鬼殺隊。ある世界軸の私は小学生。何かの間違いで記憶が乗り移った…。
って、漫画の読みすぎか。どういう因果なんだろう。というか私だけが記憶を持っているのか?……でも、鬼殺隊の人間には会わないし…会うはずないし……。
ピンポーン
その時インターホンが鳴ってびっくりして飛び上がった。慌てて確認すると、なんと…。
不死川実弥。
どういう関係か?
お隣に住む幼なじみです!!
嘘でしょ?いやいや覚えていますともていうか思い出しましたとも!同じ柱!!不死川くん!!!!!
待って全然わからなかった。思い出すまで気づかなかった。小さい頃事故に遭ったとかで全身傷だらけだけど、何でか前世と同じ姿。
でも…前世では私が年上だった…そのはずです。私が死んだ時…は…25歳。不死川くんは、18歳とか…。
いやいやいやいや。
なぜ!?
何ならなぜ彼が同い年なのですかッ!?
私が頭を抱えて熟考していると、がちゃりとリビングのドアが開く音がした。