第7章 自覚
「…わかりました、やってみます。文句言わないでくださいよ。」
結局私が折れた。
明日の休日の美術部の活動はなくすので付き合って欲しいと言われた。
…オーケーするしかなかった。
というわけで、あの三人の学校に行ってみた。遠かった。宇随くんについていきバスを乗り継ぎ、徒歩で数時間。
「不審者注意の貼り紙が多すぎませんか…もうこれ宇随くんでしょう」
「断じて違う」
まぁ、女子校ですからね。それに宇随くんはそんな間抜けなことしないでしょう。
「ではやってみますか。」
「頼む。」
私はあたりの気配を探った。
今日は休日。人は少ない、はず。あの三人部活とかやっているのか?
………ほのかに。
前世の記憶が甦る。
気配。
痕跡。
私はそれを見つけ出す。辺りにただよう霞に、獲物をとらえるような。そんなイメージ。
「………では行きましょう。」
「わかったんすか!?」
「…いいえ。いくつもある彼女達の気配を追うだけです。」
「まじすげー、警察犬見てぇ。」
「…今すぐ帰りましょうか?」
何だかんだ言いつつ私達は練り歩いた。
まず近くのゲームセンター。特にプリクラに気配が密集していた。ちなみに人生で初めて来た。なるほど、こんなに騒がしいのか。
「…恐らく、三人は仲良しなのでしょうね。だいたいの気配が固まっています。」
「……そうっすか」
どこか嬉しそうだ。
次にショッピングモール。ここも初めて来た。人が多い。
「…彼女たちは家には帰っていないんでしょうか。」
「あそこ全寮制です。寮で最近見ないんで男できたんじゃないかって…皆言ってんのを聞きました。」
「なら幸せそうじゃないですか。」
「いや、胸騒ぎがするんです。」
………。
ここにもいないみたいですね。場所を変えましょうか。