第7章 自覚
「お嫁さん探してどうするんでしょうか。結婚するんでしょうか?」
「法律的にできねーよ」
宇随くんがふざけるなと言いたげだ。いたって真面目なのですが。
「あー…なんつーか、側にいなくてもいいんすよ。アイツらが…笑って、この平和な世界を楽しんでるとこを一目見れたら、多分…俺は落ち着ける。」
彼は真剣な顔で言う。
「だいたいのことは把握しましたが、なぜ私に頼むのでしょうか。」
「あんた、探しもの得意だっただろ!鬼の場所とかすぐ察知してたし、刀鍛冶の里を自力で見つけたって聞いたことあるぜ!俺はいい加減見つけてえんだ!強力しやがれください!!」
「…言っていることがめちゃくちゃですよ。」
私は困ったなぁとため息をついた。
確かに探し物は得意です。勘というか、気配というか。そういうものに私は敏感でした。
「そもそも、今の私は前世ほどの能力値はありません。期待されても困ります。」
「でも、やってみねぇとわかんねぇし…」
「何より君が諦める理由にはならない、と?」
宇随くんが頷く。…困りました。何とか諦めさせないと。
「…探すと言っても範囲が広すぎます。」
「学校は絞った。」
「どう絞ったんです?」
彼が説明してくれた。
三人とも女子校にいるらしい。…お嬢様学校で有名。
「手当たり次第に学校の前に張り込んで探した。」
「それこそ法律的にどうなのでしょう…!?」
「三人とも同じ学校だったんだ!俺は感動したね!」
宇随くんが顔を輝かせる。
私はどうしたものかと考えた。
「ちょっと待ってください。学校がわかったなら見つけたも同然。宇随くんの目的は果たされたのではありませんか?」
「それが…最近めっきり見ないんすよ。」
「見逃したのでは?」
「俺は見逃さねぇ」
……揺るぎない自信。
これはちょいと…いや、かなり…面倒ですねぇ…。