第7章 自覚
何の夢だったんだろう。
私はボーッとしながら下校した。
体育祭も終わり、期末テストも今日で最後だったし。
テストの結果はそこそこ良い気がする。
はやめに終わってうっかり寝ていたら変な夢を見たけれど。
そうそう、一番今問題なのはそれじゃなくて。
私はとっくにスマホの使い方も慣れ、皆と連絡先を交換できた。
もちろん宇随先輩も。
『放課後、河川敷集合』
美術部のグループトークでもなく個人宛にきた。部活が今日から再開…のはずだったが、先生の都合で吹奏楽部は休み。美術部と将棋部はもともと活動日ではなかったので暇なはずだったのだが。
あぁ嫌な予感。絶対めんどくさいぞこれ。
宇随先輩は先について私を待っていた。
「何の用ですか…」
「だいたい察してると思うが、ちょいと厄介なことになった。」
「でしょうね」
私は予想通りで大して何も思わなかった。
「…ここだけの話し、俺は記憶が戻ってからずっと探していたものがある。記憶を持っているのは俺だけだと思っていたから、あまり期待しちゃいなかったが…元鬼殺隊に会って確信に変わった。」
「…探し…もの」
それは何なのだろうか。探しものなら私もある。継子だ。思い出したい。あの子との記憶。あの子が鬼殺隊で居場所もなくふらふらしていた私に人間らしさをくれたんだ。
「そう。ド派手にぶっちゃけると前世の俺の嫁なんすよ。」
「…確か……須磨さん、まきをさん、雛鶴さんですよね。」
「一回会ったことありますよね?」
「あります。」
パワフルなくのいちだった。皆若いのに切磋琢磨していて。宇随くんをどこまでも慕っていた。