第6章 花開く
体育祭が終わり、帰宅。
おじいちゃんとおばあちゃんが頑張りを褒めてくれた。
「、これ」
おじいちゃんが何かを渡してきた。それは…。
「え!?スマホ!?」
「うん、頑張ってたからなぁ。部活やリレーの練習で忙しかったろ、一緒に買いに行けんで…ごめんなぁ。」
「……ううんっ!私、すっごく嬉しい。ありがとう、実はね、欲しかったの。」
私がそう言うと二人は困ったように笑った。
「何だ、毎朝欲しいものはないかって聞いてたのに。」
「何も言わないから心配してたのよ。」
「……ごめん、スマホ、高いから」
二人はまた困ったように笑った。
「ダメなものはおじいちゃん、ダメって言うさ。」
「そうよ。言うだけ言ってみなさい。」
「……うん、ありがとう。」
おじいちゃんと初期設定を終えた。ちなみに二人はガラケーを持っているので連絡先を交換した。
私はその後階段をかけあがって元私の部屋へ。隣の部屋は明かりがついていた。
「実弥!実弥ー!!」
こんこん、と窓を叩く。
「んだよ」
「見て見てっ!!」
あっさり出てきた実弥に自分のスマホを見せた。
「おじいちゃんがね、買ってくれたの!連絡先を教えなさーい!!」
「お、良かったな。」
実弥がニコッと笑う。私は思わぬことに少し固まった。
「どうした?」
「ん、いや」
ドクンドクン、と心臓が激しく動く。
…何だ?
「ここを押してだな…」
アプリの操作方法を教えてもらい、何とか連絡先を交換できた。
「わ、わ!カナエから友達追加きた…!」
「教えといた。アイツ、お前がスマホ持つの楽しみにしてたからなぁ。」
「はぇえ…すごい。…って実弥、カナエと話すんだね?」
「……まぁ」
実弥が頬をかく。
私はとりあえずだいたいの操作を実弥に教えてもらった。
「そう言えば、怪我大丈夫?」
「あ?転んだだけだ。すぐ治る。」
「そっか。」
私はふふ、と笑った。
「良かった。」
「…うっせぇ」
実弥はピシャリと窓を閉めた。突然のことに驚いたが、私は鼻歌交じりに階段をかけ下りた。