第6章 花開く
「いけません!」
私は怒鳴っていた。笑ったまま。
「___くん、いけません!」
誰の名前?あぁ、継子か。
彼は自分の通り道にいた他の隊士を邪魔だと無理に押しのけていました。
「何でですか?」
「下の子には優しくないといけません。そこの方、申し訳ございませんでした。」
私は転んだ隊士を起こそうとしました。
「ひっ、さ、触るな!!人殺しっ!」
その人はずりずりと下がり近くの意思を投げました。額に当たりました。ヒリヒリします。出血しましたかね。
そして、私は右手をその人の前につき出しました。
「ぎゃあ!」
その人は驚き目をつむります。私は顔の直前で手を止めていました。
継子が投げた大きな石が私の手のひらに当たりパシン!と良い音をたてました。
「いけません」
私はゆっくり、かつ丁寧に言いました。
「何でですか、そいつ師範のこと何も知らないくせに悪く言うんです。それに隊率違反です。師範に石を投げました。」
「先に突き飛ばしたのは誰ですか?」
「……」
継子は黙った。
「もう触りません。お一人で立てますか?」
「……」
その人はこくこくうなずいた。
私は右手に持った石をさりげなく背後の継子に投げた。
「う」
後ろから鈍い音と悲鳴に近い声が聞こえた。
振り向くと、石が落ちていくのと継子の額が赤くなっているのがわかった。
「反応が遅すぎますね。いけません。生意気は私に勝ってからどうぞ。」
「だって、今の何にも見えなかったよ。僕、自分の投げた石は見えるんです。」
「こら、ですよ。」
コツン、と音がした。二個目の石が全く同じところに命中。出血はなし。
「頑張ってください」
私が歩き出すと継子はちょこちょことついてきた。
「師範、師範、僕いつかあなたに勝ちます。」
「はい、どうぞ。でもね、君はずっと前から私に勝ってたのだと思いますよ。」
「師範、待って。」
まだついてこようとします。
私は振り返ってにっこり笑いました。
「いけません」
師範、と声がした。
私の行く先には炎が燃え盛っていました。
「まだこちらに来ては、いけません」