第2章 目覚め
私は目を覚ました。
左手に触れる。右足、左足。ある。
目も見える。耳も聞こえる。
小学生六年生の夏休みの開始日。今しがた変な夢を見て目覚めた…わけだが。
夢…じゃない。
これは。
わ、私、何で鬼殺隊の制服着てないの?何で死んだのに生きているの?
ごちゃごちゃした頭がうるさい。
昨日までそんなこと知らなかった。……もしかして。これ、漫画によくあるやつ???
…私……生まれ変わったの!?
両親が忙しい人でよかった。今家にいるのはのこのこと正午に起きてきた私一人。
鬼殺隊としての前世の記憶が嘘みたいに鮮やかに蘇る。
えっと…大正時代だったよね。今は令和だから…百年以上たっているのか。
百年以上前を生きていた私が蘇った?なぜ??
いやなぜとかないか。もしかして、無念とか言ったから…。
そういえば、私が最後に会ったあの隊士は誰だったかしら。全然わからないや。
……ていうか思い出したくない。私が死んだ時のことなんて。そもそも前世では嫌われるに嫌われていたんだ。……。
前世の記憶は封じ込めておきたかった。だって、私は今平和に過ごしてるんだよ!?何であんな夢突然見ちゃったんだろう。
…でもちょっと気になるな。
まだ呼吸とか使えるのかなぁ。
よし。やってみよう。
私は庭に出た。母がよく使うほうきを取り出す。
…思えば、あの母は前世と同じ母なのか?私は両親の顔はいまいち覚えていなかった。記憶に残らないうちにすぐ死んだからな、あの人たち。