第6章 花開く
体育祭はとっても楽しい。
元鬼殺隊が大活躍だ。
そこらへんの運動部より活躍するので視線が痛い。
「霧雨、帰るぞ」
「おっけー」
体育委員の仕事もあり冨岡くんと行動するのが多かった。
競技で使う道具を出したりグラウンドにラインを引いたりと忙しいけれど。
「玉入れの籠を持つの、すっごい怖かった~」
「玉が顔に当たった…」
冨岡くんは顔を擦る。
「土ついてるよ?」
「どこだ」
顔を近づけてくる……。
え、拭けってこと……!?
「ここ」
「わかった」
ちょん、と指でつつくと納得した。
……私も納得した。冨岡くん、天然だから。女子との距離感とかわかってないんだな。
「土」
冨岡くんが何か言ったかと思えばそのままタオルで私の頬をグイッと拭いてきた。
「お前も」
「うぇッ、あ…つ、ついてた…の、かな!?あ、ぁりがと…」
顔が近い近い近い。
待て、天然って、天然タラシの天然!?
「おい」
「む、不死川」
白組の場所に戻る前に実弥がやって来た。
「何ちんたらやってんだ。冨岡、綱引きの召集かかってんぞ。」
「そうか、今行く。」
冨岡くんが走って去っていく。
「……おら、行くぞ」
「うん」
…?どうしたのかな
なんか…機嫌悪い?
クラスの友達と合流し、応援に加わる。
白組が勝つ。皆が歓喜にわく。
「ここで、お昼休憩です」
放送委員がアナウンスを流す。
お昼ごはんはおばあちゃんの弁当。楽しみだなぁ…。
「私、ママとパパのとこ行ってくる」
「私も~!」
皆は家族のところに行く。
気がつけば仲のいい子らはいなくなっていた。
周りでは家族が楽しそうにお弁当を食べている。
(……………痛)
何だか胸がチクっときた。初めてだ。
「ねーちゃんッ!!!」
突然左足に衝撃がきた。膝カックンみたいになったけれど何とか体制を立て直す。