第6章 花開く
プラスチックのポールが割れる。本当にごめん、陸上部……!!
「参ノ型、霞散の飛沫」
体をひねってかわす。
無剣だけどいいか。
私は背後に回った。手刀を繰り出す。手刀は胡蝶さんの首元で止まった。……まぁ止めたんですけど。
「霧雨さん……やはり記憶があるんですね。お久しぶりです。百…何年ぶりでしょうか。」
「お久しぶりです。」
胡蝶さんが振り返った。
後ろで手を組んでにこやかな笑みを浮かべた。
「お話ししたかったんです。もしかしたら記憶をお持ちなのではと思いまして。」
「……して、そのお話しとはなんでしょうか。」
暗闇だが顔が見える。目が慣れてきた。
「私達、お友達になりませんか?」
私は驚きすぎてどうにかなるのではと思った。
「前世のことを思い出すと……今でもあなたには怒りが込み上げます。」
…私の死後、お館様から私の殺人罪についての説明があったと聞いたが……彼女は私が生きているときに死んだ。
だから知らない。知ってほしいとも思わない。というか知らないでほしい。
それが罪。私の罪。事情があるからと、誰も訴えないからと許された罪への償い。
でも私は何度だって同じことをする。
繰り返したって私はあの時あの瞬間に父を殺すし、鬼になる前にあの隊士を殺した。
何度だってやりますよ。
何度だって。
その先に何があろうと。
「ですが、前世は前世です!今世ではお友達で…。私、鬼なんていなかったら素敵なお友達と一緒にいたいなぁと…そう思っていたんです!」
胡蝶さんが私の手を握った。
驚いたが力が強い。そうだ前世でも私の方が速いけど胡蝶さんの方が背が高いし力が強かったんだ。