第6章 花開く
まだ希望はあった。私は一縷の望みをかけて伊黒くんを見た。
彼も同じだった。お互い同じだ。
((お前がやれ!!!!!))
目でそう言っている。
「どっちがやる?」
「えー…っと…」
私が躊躇している間に伊黒くんが手を挙げた。
「俺はいい。霧雨が出たらどうだ。」
「……え…私…」
え!?なにそれ。なにそれ。
私に譲ってあげた感じになってるの!?何で伊黒くんいい人みたいになってるの!?
冨岡くんの視線。クラスの視線。残された時間。
伊黒くんの発言から一秒。
「………やります」
クラスから拍手が起きる。
こんな…
こんなはずじゃなかったのにー!!!!!