第60章 後書き
安城天晴(あんじょうあっぱれ)
元鳴柱
故35歳
彼は小さい頃に親・姉を殺され、さ迷っているところを鬼殺隊に保護してもらいました。長男でしたが姉にいいように使われて、親は我関せずと言った決して良いと言える家庭環境では無く、“まとも”な子供ではありませんでした。
家族の死を悲しいとは思わなかったそうです。けれど、そんなことは言えないとわかっていたので悲しむふりをして、適当にそれを理由にして鬼殺隊入隊を志願しました。
育手のもとで修行し、氷雨春風に出会います。仲良くなりましたが、春風は修行途中でいなくなりました。
しかし、天晴は最終選別で再び春風と再会し、1番の仲良しになります。いなくなった間、春風に何があったのかは問い詰めたりしなかったようです。
天晴は体が大きく足も速くすぐに階級が上がりましたが、実はさほど熱心ではなかったのです。彼自身も任務に対しては“ただ自分にできることをやっている”といった覚悟と認識でした。
そのため本部への反発も強かったようです。言うことを聞かないことが裏目に出ることはありませんでしたが、周りの目は冷めていました。
入隊して二年目で柱となりましたが意識は変わりませんでした。
天晴がしっかり鬼と向き合ったのは入隊して五年目の冬でした。春風が柱となったのです。春風のみ天晴と親しくしていました。
春風は天晴に、妻が鬼に殺されたと言いました。天晴は春風に妻がいるとは知らず、驚きました。
けれど、やはり彼はまともではなかったので悲しみませんでした。しかし、春風があまりにも悲しそうにするので、何となく励まそうと女の真似をして笑わせようとしました。そうすると笑ったので、彼は毎度そうするようにしました。すっかり癖になり、死ぬまで直りませんでした。それはもう、生まれ変わっても続くくらい。
自分自身の悲しみは分からなくても、春風の悲しみは理解できたようでした。天晴は春風が悲しむと、春風は嫌な思いをすると知りました。そこで鬼と真剣に向き合い始めました。