第51章 もっと言葉を教えて
ついたのはなんてことない公園で、実弥は真夜中のそこで必死に私を慰めていた。
「わ、私、やっぱり、実弥に迷惑ばっか、かけて」
「迷惑じゃねえよ。…いや、かけられてるけど。お前はいつも無事じゃねえか。気にしすぎてんのは俺だ。」
「でも」
「聞きやがれ!!!」
実弥が頬を引っ張る。痛い痛い。
泣いている上にこんなことされたらブサイクが際立つ!!
「俺は!!確かになァ、前世引っ張ってるよ!!女々しくなァ!!!」
「いひゃいっ」
更に引っ張るので本気でやめてほしい。
「けど、俺はお前のことしか見てねえ!!」
実弥がパッと手を離した。
「俺が大切で、気になって仕方がねえのは馬鹿な幼なじみだ。」
そして今度はフイッと顔を背けてしまった。
「それが本心だよ。」
そう言われた。
「じゃあ、前世のことがあるから色々と優しくしてくれてたんじゃ…」
「あ?そんな風に思ってたのかよ。前世のことであれやこれやと勝手に気になることが多いだけで、俺が見てるのはお前だけだ。霧雨さんは関係ねえ。」
まだ顔を背けていた。
その時。
何かがパチン、と弾ける音がした。
私の周りに一気にいろんなものがざわめき出して、私は怖くなってたじろいだが、その感覚がどこか懐かしいものであることに気づいた。
そうだ。この感覚。ありとあらゆるものが私の周りで蠢いている感覚。気配だ。
ある日突然全く感じ取れなくなった気配を、私は今確かに感じている。
「戻ったーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
「うおっ!!」
いきなり叫んだ私に実弥が驚く。
「戻った!!すごいすごい!!桜くんの言った通りだよ!!」
「は、はあ?戻ったって何だよ!?」
あ、そういえば実弥には言ってなかったっけ。
私は興奮気味にそのことを彼に伝えた。