第47章 真冬
「お前、帰らねえのか」
その質問にキョトンとした。
「いや、帰りたいけど…部活に休みますって言わないといけなくて。冨岡くんに伝言頼みたかったけどいないから、今から行くところ。」
「あー、お前のとこホームルーム伸びてたな。」
「そーなの。本当に今日はついてない。」
私がため息をつくと、実弥は少しためらいがちに言った。
「……俺が行こうか」
「はぁ?何で。」
「いや、だってお前…痛いんだろ。」
?何だ、様子がおかしいな。
「痛いけど、君が将棋部に顔を出したら何でーってなるじゃない。」
「……冨岡なら部室にいねえ。あいつはゴミ出し当番だからな。今走れば間に合うはずだ。」
「……なるほど…?」
いやでも、それは冨岡くんが何でって言うんじゃない……ってそれはないか。冨岡くんだもんな、うん。
「おっけー、そういうことならめちゃ助かる。ありがと!いやぁ持つべきものはお隣さんの幼なじみですな!!」
「ちっ……お前、帰らねえでここで待ってろよ。」
「もちもち、待ってますよう。」
実弥は教室から出て、廊下を走っていって。先生に見つかるなよーと見送る。
ん?
ちょっと待てよ。
何で私は実弥を待ってないといけないんだ?実弥が言いに行ってくれるなら私は帰れるのに。何でだ。何か私に用があったのか??
意味わかんない。何考えてるんだろう。
…あ、氷雨くんと話してたことってこれかな。私は気配から感情や思考を敏感に察することが出きるけど、気配でわからないことは本当にわからない。
あー、なるほど。何となくわかったぞ。いやこれがわかったところでどうしようもない…。