第47章 真冬
さすがに部活には出られない。怪我をしたところが痛いからだ。今日は将棋部の活動に参加する予定だったので、同じく将棋部の冨岡くんにそれを伝えてもらおうと思ったのだが。
私のクラスだけまさかの終わりのホームルームが長引くという事態に。もし冨岡くんが部室に行ってしまっていたらこのボロボロの体を引きずって部室まで行かないといけない。部室は教室から遠いのだ。ご勘弁願いたい。
果たしているだろうか。恐る恐る隣の教室を覗くと、誰もいなかった。嘘でしょう。
え?行かなきゃダメ??部室まで?遠いよ??
…でもしょうがない。行くしかない。
私は振り返り、部室へ向かおうとした。
「え」
「は」
私は気づかなかった。ショックが強すぎるあまりか身の回りの気配を意識していなかった。
振り返った私と、教室に慌てた様子で今まさに入ろうとしていた人物とぶつかった。
私はその衝撃でずしゃりと転んだ。
「いったッ!!!!!」
今日怪我をしたばかりの私には凄まじい痛みだった。やばい。死ぬ。
「悪い!!大丈夫か!?」
何と実弥だった。
うわあ、全然気づかなかったよ、馬鹿なの私は。
それにしてもいったい。痛すぎるやばい。答えられない。大丈夫って言って、さっさと部室行かないと…!!
「だ、大丈夫…!!」
「…お前、泣いてねえか?」
「幻じゃないかな。」
ああ、派手にすっころんで泣くなんてみっともないことしたくないんだよ。情けない。見逃してくれ。
私は意を決して立ち上がった。
「……ッ!!」
いてえ、泣きてえ。もう一ミリも動きたくない。でも。
「そ、それじゃあ、バイバイ。」
待ってろよ部室。部活開始時間までには行ってやるよ。元霞柱なめんなよ。
「おい。」
「え?」
実弥がどうしてか私を呼び止めた。