第47章 真冬
「ちゃん大丈夫?」
「霧雨さん、どうしたの」
皆がわらわらと集まってきて、痛そうだとか大丈夫だとか言ってくる。痛いし大丈夫じゃねえよ。心配してくれてありがとうだけど、そんなに囲まれたら保健室行けないよ。
「皆、道を開けろ。」
そんな時に冨岡くんの声がした。輪から離れたところにポツンと立っていた。
「保健室に行けない。」
そうして、皆ごめんとか言って道を開けた。それにより私の中で冨岡くんの株が爆上がりした。めっちゃいい人。最高。
そんな中、実弥の姿が見えないことに気づいた。どこにいるんだろう。…って、何で探してるんだ。見えなくてもいいじゃん。どっかにいるだろうし…。
保健室に到着し、治療してもらった。
両膝と左手、頬に包帯やガーゼを当てられる。
「血は止まったみたいですね。」
珠世先生がにこりと微笑む。先生とは前世で関わりがあったのだが、どうもそのことに関しては聞き出しにくかった。前に会った時は記憶がなかったから気づかなかったけれど、今は違う。
そもそも記憶があるかもわからないし、言わない方がいいだろう。
「…両足に左手…頬ですか」
「はい。変なこけ方をしてしまって…。」
「霧雨さんは運動神経がいいと聞いていましたが…何かあったのですか?」
「いえ、何もないところでバランスを崩してしまいまして。」
思い出すだけで恥ずかしい。それに受け身一つ取れなかった。情けない。
「顔色が良くないようですが、体調が悪かったのではないですか?」
「顔色…そうですか?ちょっと寝不足なくらいです。全然平気です。」
「他にはありますか?」
ああ、治療し終わった後って嫌いだなあ。じわじわ傷口が熱くなって、すごく痛いから。
「今日は、朝から疲れたなあっ感じでした。」
「では、やはり寝不足でしょうね…。よく寝るようにしてくださいね。これから期末テストもありますから。」
そう言われて、はいと返事をした。