第37章 解明
「お館様が嫌いって何だその恩知らずは!!」
実弥が急に叫び出すので私はビックリした。
「何よ、あんただって最初は「その話はすんな!!」」
何だこのガキ大将のような主張は。
「本当なんだって。私、再会してから天晴先輩とお館様の話したことないし。」
「け、なんだよ。あの野郎。」
「そういえば、霧雨さんはあまりお館様に心酔している様子はなかったな?」
「まあ、みんなお館様に恩義はあったけど…って、その話はいいや。不死川くんがブチギレるまえに、箱の中身を確認しよう。」
イライラしている実弥をよそに、私と煉獄くんは中身を取り出した。
前世と同じならあまり中身は期待していなかったのだが。
「わあ、綺麗な石。」
中に入っていたのは真ん丸な、小指ほどの青い石だった。
「何だろう、これ。ビー玉かなあ。」
「?何でわざわざこんなものを?」
「おい、何か紙入ってるぞ。」
怒りがおさまったのか実弥が話に入ってきた。箱の底に入った紙を出す。
「『こんにちは。お久しぶりですね。君達は初めましてかな。』」
紙に書かれた文字を読み上げた実弥の顔が青くなっていく。
「おい…まさか、俺たちのことか?初めましてってのは…!!」
「…あ、ありえるかもしれない…あの人ならこの状況を予想するくらいはやっのけるかも!!」
「どんなやつだよ!?」
実弥は不気味そうにしていたが、続けた。
「『この箱のことを、覚えていらっしゃいますでしょうか。現世ではまだ見ぬあなたが、息災であることを願って、ラピスラズリを贈ります。あなたは綺麗な石がお好きでしたね。私が戦闘不能となる前、河原で一緒に石を拾いましたことを覚えておいででしょうか。無邪気な笑顔と同時に』…っておい、これめっちゃ長えぞ。」
「え、ホントだ。」
「小さく折り畳んでコンパクトにしただけで、1メートルあるな。」
「ええええええええ」
そう言えば…『アイツの手紙は長いから、最後の結び文しか読まないわ』って前世で天晴先輩が言っていたような…。