第37章 解明
仕方がないので開け方を教えた。
「指先にまで意識を集中させるの。細胞単位でね。指先にためこんだ力を解放するようなイメージで力を抜いて。」
しかし、箱は開かない。実弥もやったが開かなかった。
「おい、この箱開けられるようになるまでお前はどんくらいかかったんだ。」
「うーん、私も最初は諦めてて、箱の開け方を知る人がいなくなったところでやっと開けようと頑張り出したんだ。今みたいにたくさん試行錯誤して…でも、呼吸を使うって知ってからも一週間くらいかかったかも。」
「そんなにか?」
「うん。誰にも見つかるわけにはいかなかったから。」
私は当時のことを思い出しながら言った。
「離れたものをくっつけるって便利なんだよね。」
私は再び箱を開けた。慣れてきたら何とでもないことだ。
「この段面を見て。何もないでしょう?」
「確かに…ただ斬ったってだけみたいだな。」
「はあ?ただかぶせただけってことかよ。」
「そう。これでくっつくの。…理屈はわかんないんだけど。」
当時のことはあまり記憶にない。昔すぎるのだ。けれど、その時の柱達は…。
「その当時、柱はみーんなお館様が大っ嫌いだったから、全然言うことを聞く人はいなくて…。鬼殺隊と柱で分裂してたの。」
ずいぶんと昔の話だ。それこそ、忘れていた話。