第37章 解明
手紙を読み終える頃には、三人ともぐったりしていた。
かいつまんでしまえば、『お元気ですか、僕も元気です。あんなことやこんなことがありましたね。』という内容なのに、あの人は文章をまとめるということをしないのか、蛇足な文章が多かった。
私たちは疲れきって、寝転んでだらだらしていた。
「おい、このラピスラズリって石めっちゃ高えぞ」
スマホをいじっていた実弥がぽつりと言った。
え、検索してくれてたの?
「うそ」
「このくらいの大きさだとこの額らしい」
「うわお」
スマホの画面を見せてくれた。今みで見たことのない料金だった。
そ、そんなものをべたべた触っていたのか。
「でも、なんでラピスラズリ?」
「幸運を招くとかいう効果があるみたいだな」
「パワーストーンというやつか!それは縁起が良いな!」
「まぁ、こんな長い手紙よこしてくるんだから良い奴なんだろうな」
「箱は謎だがな!!」
煉獄くんが豪快に笑う。私と実弥はそれを見てクスクスとつられて笑った。
「前世もこんなに長い手紙入ってたのかよ?」
「いいえ?…隊服のボタンだった。一つだけ入ってた。渡されたの、その人が引退してからだったから。」
「…それ、どうしたんだよ。」
「自分のボタンがダメになった時に付け替えた。…あの人のボタン、全然壊れなかった。まるで、この箱みたいに……。」
いや。
そういえば、たったの一度だけ壊れたなあ。それこそ、最後のあの闘い…。
ボタンが割れて、少し寂しい気持ちになったのを覚えている。けれど、それは一瞬で。すぐに切り替えた。
「そういえば、ボタンといえば、不死川はずいぶんと古いものを持っていたな?」
「あ?」
「バラバラになっていたのを、ずいぶんと大事そうに布にくるんで持っていなかったか?時透に渡していたな。」
「え」
私はチラリと実弥に目をやった。
「覚えてねえなあ…。」
あくびまじりに言った。
嘘の気配がした。
けれど、私は泣きそうになる程、実弥の行いに感謝した。