第37章 解明
「だが、思い出したならやっとこの箱が開くな!!」
煉獄くんが嬉しそうにちょっと形がいびつになった箱を渡してくれた。
「けっこうコツがいるんだけどね。」
私は箱を受け取り、意識を集中させた。
スウウウウウウ、と息を吸い込む。もちろん全集中の呼吸だ。
手の指1本1本に集中する。血管の本数、神経の流れ、細胞にいたるまで。呼吸を繰り返す。箱に触れている指に全ての力を込める。
そして、手に集めた全ての力を解放するイメージで力を解く。
コトン、と音がして箱が真っ二つに割れた。
「あ…開いた…???」
「おい、何したんだ?」
そう聞かれたけれど、私は全神経を使ったせいで若干放心状態だった。
「うーん…呼吸の応用……?なのかなあ?」
「応用?」
「そう、私たち、呼吸で止血したり、できたでしょう?でもね、そういうのって、いろんな人が、呼吸を研究したから、ゲホッできることなの。」
「いや、まず落ち着け」
実弥が麦茶の入ったコップをさしだしてくれたので一気に飲み干した。
「ぷはっ。呼吸の研究にもブームがあるの。私がまだ柱になったばかりの頃、こういうことばかりがはやった。」
「開かない箱をつくることか?」
「そう。でも、このブームの全盛期に私は上手く呼吸を使えなかったから詳しくは知らないの。柱にだった時期的にきっと天晴先輩の方が詳しい。何で燃えないのか、とかはわからない。」
私が首を横に振ると、実弥が真っ二つに割れた箱をまじまじと見つめていた。
「それにしても、どうなってんだあ?」
「呼吸で閉じたものは呼吸でしか開かない…だったかな。聞いたことがある気がする。」
私は適当に箱をつかんで元の状態に戻した。
これもちょっと力を使うんだよなあ。
「開けてごらん?」
煉獄くんにさしだした。
「?」
首を傾げた彼が色々と挌闘したが、開くことはなかった。