第34章 進展
「あら、うちの子が何ですって?」
私は途端に声をかけられて慌ててその方を振り返った。実弥も驚いていた。その時、ちょうど先輩と冨岡くんがおいついてきた。
「何だ、知り合いか?」
「あらやだ、さっそくストーカー容疑かけられたの??」
?先輩は何を言っているんだ?
話かけてきたのは女の人で、とても若く見えた。キラキラとした装飾品がけばけばしく、病院には不釣りあいだった。
「優鈴のお見舞いに来たんでしょ。ほらおいで。連れて行くわ。」
「えっ、あ、あの」
「三階だけど若いから階段で平気ね。今日はエレベーターに乗るのはよくないの。」
私達の戸惑いを無視し、スタスタと歩いて行ってしまう。
「何だァ、あの人」
「…待って、どこかで見たことある気がするわ。」
「み、皆!追いかけようよ!!優鈴に会わせてくれるみたいだし!!」
「行こう」
「は、おい、怪しいやつについていこうとするな!」
私を筆頭に皆でその人を追いかけた。階段をのぼりきり、その人が入って行く病室に飛び込んだ。
そこにいたのは、ベッドの上で眠る優鈴だった。
「…ッ!!」
私は嬉くて、近寄ろうとしたけれど実弥に止められた。
「そうつっぱしんな。ちったあ聡明な頭を使いやがれ。この状況に疑問を持て。」
「はっ!確かに!!あなた、誰ですか!?」
天晴先輩がガクッとなった。
「遅い…今更すぎる!!」
もう、そんな分厚い靴はいてるからこけちゃうんだよ!
もっとぺったんこな靴はけばいいのに!
「、きっとお前の考えていることは何にも的を射抜いてねえ。」
「え?」
そうこうしているうちに、あの女の人が話し出した。
「私は優鈴の母です。」
「え!?お母さん!?」
「…姉ではないのか」
確かに、冨岡くんの言うようにそう見えなくもない。
母親の見た目ではない気がする。