第34章 進展
優鈴の気配を追うと言っても、そんなに私の能力は便利なものではない。
「私、スマホで木谷優鈴について検索したんです!」
歩きながら皆にスマホの画面を見せた。
「何と、書道大会で優勝していた実在する人間だったのです!!」
そこには表彰される優鈴の写真があった。
「あら…。なんかもう、ファンタジーが現実味をおびてきたわね。」
「何を言っているんだ。最初からファンタジーなんて皆無じゃないか。」
「ああ〜!!」
天晴先輩が頭を抱えるのを実弥が哀れむような目で見ていた。
「その他にも多数の大会にでてるんです!!優勝したのはこの大会だけみたいなんですけど…。」
「あら、本当…。でも、これって二年前ね。」
「どうやら、小学校までの大会記録しかないんですよね。書道やめちゃったんでしょうか?」
「普通に考えりゃそうだな。」
「でもでも、私、大会のエリアや彼の取材記事をもとに、おおよその行動範囲と居住地域を考えたんです!」
私は鞄からノートを出した。
そこには調べに調べ上げた優鈴の情報がびっしりと書かれていた。
「うわっ」
「うおっ」
先輩と実弥が悲鳴のような叫び声をあげた。
…?何で?
「私の情報収集にぬかりはありません!とりあえずはこの地域に的をしぼりましょう!ちょっと遠いですけど…。」
「い、行くわ!!絶対に行く!!絶対一緒よ!!」
「お前俺達から離れんなよ!?犯罪に手を染める前に!!!」
「え?犯罪?」
私が首を傾げる。
「と、とりあえずそのノート寄越せェ…!!」
「証拠は抹殺しないと…!!!」
「?見たいんですか?いいですよ。」
二人はやたらと熱心に読み込んでいて、最後には預かりたいと言うのでオーケーした。
内容は頭に入っているからいいんだけどね。