第34章 進展
「で、何で人が増えてるの?」
休日になると先輩は女の子スタイルになる。今日も靴底が分厚い。
学園の校門前に集まったとたん、先輩はうんざりしたように言った。
私は予定にはいなかった人物の肩を叩き、にっこり笑った。
「優鈴のことを話したら、ついてくるって言ったので!」
実弥だった。出かけるときにゴミ出しをする彼と鉢合わせ、どこに行くのかと聞かれたので答えたらついてきた。
「てめえはトンネルの事件を忘れたのか、アホが。変なことに首つっこんでんじゃねえ。」
「ええ〜?今回は生きた人間を追いかけるんだよ?何が危ないの?」
「その思考回路だア…!!どうして時々馬鹿になんだよオ…!!!」
実弥は何だかうるさいけど、あまり気にならなかった。とりあえず、はやく優鈴に会いたい!!
「本当に不死川は霧雨が好きだな」
冨岡くんがポロリとこぼす。
私はキョトンとした。
そして、場の空気が凍りついたことに気がついた。
「冨岡ァ……テメエェェ…!!!」
実弥が怒る。ワナワナ震えているし、顔が真っ赤だ。
「なぜだ。事実ではないのか。霧雨も不死川のことが好きだし、仲良しだなと言いたかったんだが。」
冨岡くんがサラッと言う。それはちょっとマズいんじゃないかと思えば、ただ単に友達としての話をしているのだと気づき考え直した。
「不仲ではないかな。冨岡くんってけっこう周りを見ているよね。」
「ああ。うまくいくといいな。」
むふふ、と冨岡くんが笑う。
天晴先輩がなぜか頭を抱えていて、相変わらず真っ赤になって震えていた。
「うまくって何が?あ、喧嘩しないようにってこと?」
「はーい、そこまで!!さっさと行きましょう!!」
天晴先輩がそう言うので、私達は木谷優鈴探しを始めた。