第34章 進展
「たった一人の同期ね…」
天晴先輩にもいたのだ。彼よりも長く柱として君臨していたが…。
ん?待て。何か大切なことを忘れているのかも。
「ああッ!!」
「わ」
「うお」
「…でも、他にも鬼殺隊を知ってるって優鈴は言ってたんです!!」
クソデカボイスで自分に記憶を二人に伝える。二人は耳を塞いでいたが、しばらくして手を離した。
「え、それじゃあ生きた人間みたいだね…」
「ですよね。うっかり忘れていました。」
「…霧雨はそれをどう考えるんだ?」
そう聞かれて、私はとっさに仮説を立てた。
「この世に潜む、元鬼殺隊士の存在を私達に伝えようとしてくれてたとか!」
「……ずいぶんとファンタジーな…」
「あの人のことだ、あり得る」
「ええ…いったいどんな子なんだ…?」
天晴先輩は頭を抱えた。
「生きた人間以外がこの世にいるわけないじゃないか。」
そして、その何気ない言葉に私と冨岡くんはハッとした。
「「それだ!!/それです!!」」
「え?何?何ごと?冨岡くんまで大きな声を出して…。」
「優鈴は生きていて…」
「生きたまま…」
「あの、俺も話にまぜてくんない…?」
まだよくわかっていない天晴先輩に口下手な冨岡くんより先に説明した。
「生き霊ですよ!優鈴は生きたまま幽霊になって私達のところに来たんです!」
「えっ、あ、その、ファンタジーはそのままだね…」
「何を言っているんだ。生きているのだからファンタジー要素はゼロだ。」
「生き霊のどこにファンタジー要素がないっていうんだい!?」
「生きてるなら会えるよー!!私が気配を辿ればいいんだ!!ねえ、会いに行こうよ!」
「生き霊で決定!?」
私達はその後、木谷優鈴探しの計画をたてた。
「君達、放っておけたもんじゃないよ!」
と、呆れたように天晴先輩は言っていたけれど、冨岡くんと私は優鈴に会えるかもしれないことが嬉しくて、ひたすらむふふと笑い合っていた。