第34章 進展
体育祭もあっという間に終わってしまい、燃え尽きた生徒は少し寂しそうな雰囲気を出していた。
体育祭明けの授業では、皆やる気がなさそうだった。
そうそう、あの消えた転校生の木谷優鈴だが消えたことになっていた。消えたというか、そもそも存在していないことになっていたのだ。
カナエは前世の記憶から優鈴のことは覚えていたが、転校生の存在についてはいないと豪語した。
このことは、あの夜に集まった四人の秘密となった。
あの前世での話は実弥にしかしていないが、何とも不気味な奴だ。
「もしかしたらどこかで生きてるかもなあ。」
実弥はあの夜のことを不思議そうに話してはたまにそうこぼした。
そのことを私も願う。
「はあ、そんなことがあったの。」
「そうなんですよ。」
旧知の中である天晴先輩にそのことを話した。
学園ではすっかり男の子になっている。三美女ではなくなったけれど、その美貌は変わらない。たまにお昼休みを一緒に過ごす。
ちなみに、冨岡くんもいる。
「そうか。あの人が化けて出たのか。」
優鈴のことは知っているはずだ。
『間違いなく生きている人間なのに、限りなく存在感が“アレ”と変わらない!!』
確か、そう生き生きと語っていたのを覚えている。
…。まあ、アレと言うのはこの世のものではない…つまりはお化けなんだけど。うん、本人に言うのはよそう。
「会いたかった。」
「…私も、もう一回会いたいな。」
私たちはむふふ、と笑い合った。
「まあ、君たちがそんなに言う子なら俺も会ってみたいな。」
「いい奴だ。」
「…最後は…悲しかったけど。」
私は苦笑した。天晴先輩がため息まじりに言う。
「自殺、か…。」
「はい。」
「鬼に殺された方が、まだ納得できるよね。」
私は頷いた。