第33章 前世の記憶ー神風鬼殺隊ー
私はその質問に答えた。
「世代交代です。」
その短い言葉で、おおよそのことは察してくれているといいのですが。
「皆さんはご存知では無いと思いますが、私が今の立場になったのは先任の方がお亡くなりになった時、当時の柱の方々が推薦してくれたからです。」
私の説明を皆は黙って聞いてくれていた。
「我々柱は対等な関係にありますが、こういった存在が必要だと、先任の方はよくおっしゃっていました。」
ずいぶんと懐かしいことです。
「そんな大層な役職を俺たちにおしつけるってか?」
「不死川くん。」
私はにこりと笑った。私だってちゃんと注意しますよ、行冥。あと少し遅かったらまた小言を垂れていたんでしょうねえ。
「当時、私を推薦してくれた柱たちは全員」
少し間をあけた。突然話すのをやめたので皆不審そうな顔をしていた。
「この世には、いません」
不死川くんが黙り込んだ。
「私もいつ死ぬかわかりません。ですが、まだ若いあなた達よりははやいでしょう。未来に希望あるあなた達に、私は繋げたいのです。」
「霧雨さん…言いたいことはわかりましたが、誰がいつどうなるかはわかりません。それに、私たちよりあなたが生き残るかもしれないじゃありませんか。」
「そこで、皆の意見が欲しいのです。私はずっと偉そうにこの立場にいるつもりはありません。生きている今のうちにあなた達に引き継げるものは引き継いでいきたいのです。」
そう言うと、口を挟んできた胡蝶さんは納得してくれたようでした。
「世代交代という話を聞いた時、驚いたけれど…。先任の子は長くこの役目を勤めていたから、への引き継ぎがうまくできていなかった。確かに、重要なことだと思うんだよ。」
お館様のこの言葉もあって、皆は賛同してくれた。
私は安心して、そっと微笑んだ。