第33章 前世の記憶ー神風鬼殺隊ー
会議はそこで終わった。結論は次回ということだったが、もう皆の心は固まっているように見えた。
「最近の怠慢はこのためだったのか。」
「…何がです?」
会議後、行冥が話しかけてきました。
「見定めていたのだろう、統治者をなくした鬼殺隊を。」
「そうね…。でも、案外大丈夫なんだと安心したわ。」
私がそう言うと、行冥は驚いたようだった。
「皆、きっと大丈夫よ。強くてたくましいんだもの。」
「…時折、お前はおかしなことを言う。」
「いいえ。」
優鈴の死は、私に決心をする勇気をくれました。
仲間がどんどん私の元を去っていく。私だけが生き残って、惨めなまま。
「私の役目は、終わったんだわ…。」
もう同期まで見送ってしまいました。
これにより、私は一番の古株です。
あの日、藤襲山出会ったあなたが自殺だなんて、信じられません。
「優鈴は正しかった。引き時を心得ていた。私も…。」
「」
行冥がいっそう低い声で私の名前を呼びました。
「木谷殿が正しかったわけではない。傷心なのはわかるが、血迷うな。」
「……。」
優鈴は笑っていました。
ありがと、と言って。
「ねえ、優鈴は一人じゃ立てなかったのよ、やっと歩けるようになかったばかりなのよ。目もほんの少し先しか見えていなくって、空の星もわからなかったのよ。」
「……。」
「どうやって…首を吊ったって言うの……?」
納得できませんでした。
どうやって自殺をしたというのでしょう。けれど、誰も死の瞬間は見ていなかった。隠のいないほんの少しの時間で…。
「あんまりだわ、私は一人、生き残ってしまった」
それでも泣くなんてことはできなくて。
私はずっと笑っていたし、行冥は泣いていました。
『ねえ、君は、夜好き?』
優鈴。
『絶対生き残ろうね、立派な鬼殺隊になろうね』
藤襲山でのあなたをまだ覚えています。
私は夜が嫌いです。
夜は私の大切なものを全て奪ってしまった。
それでも失ったものとの思い出は夜にたくさんあるものですから。
夜になると私は、意識なんてしなくても。
あなたの笑顔が、染み付いて離れないのです。