第4章 煌めき
「助けてッ!!!」
私は叫んだ。声の限り叫んだ。父が頭を殴る。痛い。痛いのか。あんなに鬼に怪我をさせられたのに。痛いものは痛いのか。
「誰か……助けて…ッ!!!」
私の顔は笑ってなんかない。涙がボロボロ流れた。
感情がわかってきたんです。
私は優しさを知りました。
愛を知りましたた。
教えてくれた人がいたんです。
私はどれだけ嫌われても平気でした。私を認めてくれる人が一人でもいる限り、生きないとその人の優しさと愛を否定することになると思ったからです。
生きました。
私、生きたんです。
今も、生きているんです。
父が私をおさえつける。私は本を再びつかんだ。
「ッ!!!!!!」
いつものごとく。
彼は華麗に窓から窓へ移動してみせた。
いつの間にかその部屋には明かりがついていて。
鞄を背負ったままなところを見ると、帰ったばかりのようだった。
「実弥……ッ!!!」
私は本から手を離した。呆気にとられた父親の隙をついて逃げ出した。
実弥に手を伸ばした。が、少し恐くなった。
拒絶されたらどうしよう。
あぁ、そうだ。不死川くんは私のことが嫌いなんです。助けたくもないだろうに。
でも、なら何で来てくれたんでしょうか…
「!」
不死川くんは躊躇いもなく私の手を握って私を引き寄せた。
服が乱された私に学ランをかけてくれた。
「てめえ…それでも父親かよッ!!!」
実弥が父に怒鳴った。
私は呆気にとられた。
「…く…ッ!!!…クソガキッ!!!」
父が実弥を殴ろうとする。
私は動けなかった。
実弥は難なくかわした。
「…、俺の部屋行ってろ」
「え…だ、ダメだよ、だって」
「いいから。その間にこれで誰か呼べ」
こっそり耳打ちしてくれた。
実弥はスマホを渡してきた。
…持ってたんだ。知らなかった。
私はスマホを握りしめていつも実弥がするように窓から窓へ飛び移った。