第4章 煌めき
私は二階の部屋に引きこもることにした。今日は晩ごはんなくて良いや。どうせ母さんは惣菜かレトルトしか出さないし。
実弥の部屋は暗い。
そう言えば、吹奏楽部には片付けがあるとか言ってたっけ。私は来なくて良いって先輩に言われてたけど。
窓を開ける。うん。風が気持ちいい。ちょうど良いや。
イヤホンをして本を読む。
本棚はベッドから一番遠い。
私は頬をおさえた。まだ腫れてる。痛い。
本を読み終える頃には喧嘩は終わるだろうか。
本を読み終える頃、まだ実弥の部屋は暗く、空が夕陽色だった。
ものすごい勢いで部屋の扉が開いた。
私が驚いていると父親が机に座っていた私の腕を引っ張った。
「痛いッ!!!」
私が怒鳴る。父は躊躇いもなくまだ腫れていた頬を叩いた。昨日蹴っ飛ばして内出血した腹を再び蹴った。
私は笑っていた。
あぁ、不気味。
これじゃあ確かに不気味です。
父は私を押し倒した。
前世の記憶が甦る。
父が今から何をするのか。
父が私の制服に手をかけた。
体に嫌な手つきで触れてくる。
………。
前世と今世は違うんじゃなかったのですか?
また繰り返すのですか?
ほら、前世と同じで私の側には本がある。分厚いです。角で殴れば痛いでしょう。
だいぶこうなるまで遅かったですね。
前世じゃもっと幼い頃だったんですけど。
繰り返すしかないんですか。
私は本を持つ手に力を入れた。
やれ。
殴れ。
殺れ。
殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ
脳が支配された。
父の手が上半身から下半身に向かう。
足が開かれ間に父の体が入ってきた。
後悔してることがあるんです。
前世で唯一の後悔です。
あの時、こうすればよかったんじゃないかって何回も思いました。
私は息を吸い込んだ。