第33章 前世の記憶ー神風鬼殺隊ー
「木谷優鈴様が亡くなられました。」
翌朝、私の家にやってきた隠に告げられた。
彼は目元が赤く、泣きながらこの嫌われ者の住む私の家に来たらしかった。
「遺言により、葬儀は行われません。すでに埋葬されました。場所につきましては…。」
隠が私を軽蔑するような目で見てきた。
それは、ずっと笑っている私に対して当然のことでしょう。
「こちらがあなた宛の遺書です。以上になりますので、それでは。」
「ええ、お疲れ様です。」
私は満面の笑みで答えた。
「それで、ずいぶんと死後の準備が進んでいるようですが、いったいいつの話なんでしょうか。私は昨晩、彼を訪ねたのですが。」
「は…?いや、そんなはずはありません。亡くなられたのは、2日ほど前の晩にございます。」
「え……?」
笑顔が固まった。
おかしい。確かに話しましたのに…。
「ご自身で、首を吊って亡くなられたのでございます。その顔は苦悩にゆがんでおられて、さぞ苦しかったのでしょう。」
「首…?」
そんな。縄の跡のようなものも確認できませんでした。
嬉しそうに笑ってもいました。
「自殺…ですか…。」
「はい。本人のご意向により、お伝えするのは3日後となっておりまして、このようなお伝え方に。」
「それはそれは…。」
私は受け取った遺書に目を落とした。
信じられなかった。自分の身に起きたことも、その真実も。
「……ずいぶんと、救いのない話です…」
昨晩の笑顔は何だったのか。
私は放心状態で隠を見送った。
私は部屋に戻って、遺書を読みました。
『へ
僕は、もう逝くね。君には世話になった。これ以上貴重な人員を僕にさいてほしくはないし、きっとお館様も理解してくださるだろうから。どうか許して欲しい。僕はいつだったか、君と遠くの山で見上げた、星の一つになる。
夜になったら、僕は強くなれるんだ。だから、僕に見守られた君はこれからも強いよ。何かお館様には内緒でやろうとしているみたいだけど、体だけは気をつけてね。
木谷優鈴』