第33章 前世の記憶ー神風鬼殺隊ー
結果的に怒られてしまいました。
「まあ、お館様に盲目になってしまうよりは良いでしょう。前々から、鬼殺隊はお館様に肩を入れすぎていることが議題にあげられることがあったんです。あなたも知っているでしょう。」
「それは昔の話だろう。敬うものは敬うのだ。」
まいったなあ、と私は不死川くんに視線をむけた。
「自由にやれば良いと思うのですよ。お館様に足を向けて寝るも自由ですから。」
「…!!」
「お館様は怒ったりしませんよ。ねえ。怒られなかったのでしょう。」
不死川くんが頷く。
「じゃあ、いいではありませんか。」
「はあ…。お前は隊をまとめる気があるのか。下の隊士の育ちも最近は……。」
「まあ、あなたったらいつからそんなに口煩くなったの?」
私は思わず吹き出してしまった。
「でも、いい傾向ね。」
「何がだ。」
「…私だって何も考えていないわけではありません。さあ、もう帰りましょうか。私は寄るところがありますから。」
行冥と不死川くんが何かを言う前に私はその場を去りました。
「何なんだ、あの人」
「……少し前までは鬼殺隊をよくまとめていたのだが、最近は怠慢な態度が目立つ。」
残された二人はまだ話し合っていた。
「最近では会議を私に任せることも増えた。何を考えているのやら。」
行冥は気づかない。
彼だけではない。誰も、真実にはたどり着かなかったのだ。