第31章 怪奇現象
お化けの話って皆信じるだろうか。
私はあまり信じていなかった。それは優鈴に会う前の話。優鈴は教えてくれた。この世界には、見える者にしか見えない“何か”が存在するのだと。
時折、それはうっとうしいくらいこちらに語りかけてくる。優鈴は鬼殺隊に入る前にその“何か”を静かにさせる仕事をしていたという。今で言う霊媒師である。
「何だ、いったい何が起きたんだ…!!!」
「んも〜折角いい感じだったのに。」
「し、死ぬかと思った…!」
私達は息も絶え絶え廊下にへたり込んだ。廊下は暗くなって、すっかり無気味な雰囲気になっていた。
「霧雨さん、この人は誰だ?」
「木谷優鈴。私のクラスに一時的に転校してきたの。ちなみに、元鬼殺隊。」
煉獄くんに説明した後、私は優鈴に煉獄くんを紹介した。
初対面というのに、優鈴に緊張した様子は見られない。日中もこうだといいのに…。夜になると本当に人が変わる。
「優鈴がお化けと何かしてるみたいだから、ちょっと心配になって様子を見にきただけなのに。煉獄くんが先走るから、大変なことになっちゃった。」
「いや、すまなかった!」
「大変…うん、大変なんだよね〜。」
「大変になっちゃったね。」
「む?」
煉獄くんが首を傾げる。私は彼に説明した。
「あの教室のすみにね、嫌な気配がずっとあったの。優鈴はその嫌な気配をなんとかしようとしてくれていたんだよね。」
「うん。でも、一つに固まっていてくれたのが散らばった。」
優鈴の言う通り、学園中に嫌な気配が蔓延していた。
教室の一か所にまとまっていた“何か”が…。
「霧雨さん、大丈夫か?」
「……は気配に敏感だから、嫌なものと相性が悪いんだよね。」
寒気が止まらない。私を取り巻くものが全て害に思えた。