第31章 怪奇現象
「悪いけど、案内している暇はないの。場所を教えてあげるから、それで帰れるよね。」
私がそう言うと、煉獄くんは首を傾げた。
「霧雨さんはそんなに慌ててどこに何をしに行くつもりなんだ?」
「うッ…。そ、それは…。」
何と説明したらいいのかわからない。そもそも、煉獄くんは優鈴を知らないし…。
「むう、気になるな。ついていってもいいか?」
「…ああ。はい、もう、イイデスヨ……。」
断る理由も思いつかなかった。投げやりにそう言うと、煉獄くんはにっこりと笑った。
私達は二人で歩き出したが、途中で思い出して私は煉獄くんを振り返った。
「そういえば、お化けは平気?」
何も知らない煉獄くんはキョトンとして固まった。
教室に到着。私は警戒しながらゆっくりと教室に入ろうと……したんだけど。
「頼もうッ!!!」
「うっわバカ」
何の躊躇もなく教室の扉をスパアン!!と気持ちの良い音を立てて煉獄くんが開けた。
「およ」
中にいた優鈴が私達を振り返る。
「あっぶないよお〜。………そこ。」
優鈴がいつになく冷たい低い声で言った。
煉獄くんの足元を彼が指差す前に、私は彼の手を引いた。
ガシャン!!と音がした。
教室に飾られていた花瓶がいきなり飛んできたのだ。
「な、何だ!?」
「次来るよお〜。」
「言ってないで止めてよ…!!」
私は煉獄くんの手を引きながらとんでくるものを避けに避けまくった。いわゆるポルターガイストなのだが、物が当たるとシャレにならない。
「こうなったらどうにもならないよおー。逃げよう!!」
「うそでしょ!?」
「うわっ、教卓が飛んでくるぞ!!」
私達三人は、必死に教室から逃げた。