第31章 怪奇現象
「ってなわけで。」
私はその日の放課後にカナエとアマモリくんに優鈴を紹介した。授業も終わり、皆部活に行ったこの時間がベストタイミングだった。
カナエはともかく、アマモリくんはまだダメなようで私の背中に隠れていた。小柄とはいえ私よりは大きいんだから隠れられてないんだけど…。
「優鈴はちゃんと覚えてた。」
「いえ~い!」
「ひゃっほう、やで!」
何だこのノリは。
私は呆れて何も言えなかった。
「あの、ぼ、ぼ僕、僕と、ここにいる人、以外で、その、覚えてる人、いるんですか。」
「いるよ。」
「そ、そう。」
優鈴も全くノリにはついてこず、ずっと私の後ろに隠れていた。
「僕の、知ってる人?」
「えーっとねぇ。今まで会ったのは…。」
「悲鳴嶼さんに、宇髄さんに、冨岡くんね…あ、そうだわ。安城さんは…。」
カナエが私に視線を向けた。私は首を横に振った。天晴先輩と優鈴に接点はない。優鈴が柱になったのは天晴先輩の死後だ。
カナエより後の柱とは接点がなかったはずだ。
「そ、う、ですか。」
「優鈴は…他に誰かに会った?」
「あ、会ったけど、その、……以外は知らない人…。」
そう言われて驚いた。
カナエとアマモリくんはキョトンとしていた。
「そっか。じゃあ、その話はしなくていいよ。」
「…、わか、った」
優鈴はおどおどしながらもはっきりと頷いた。
いったい誰なのか気にならないといえば嘘になるが、無理に問いただす必要もないだろう。
優鈴の挙動不審さにアマモリくんは眉を潜めていた。けれど、これはしょうがない。木谷優鈴とはこういう人間なのだ。初めてあった時もどんなものだったか。