第28章 絆
「玄弥ッ!!!」
おばさんが無事だった我が子を見て涙ぐむ。そして、私を見て驚いていた。
「まあ、ちゃん!?」
「こんにちは、おばさん!玄弥くん無事で良かったよ~!あ、この人学園の先輩なんだけど……。」
軽く天晴先輩を紹介しておいた。実弥には何も言わない。実弥も何も言ってこなかった。…喧嘩をしているわけではない冨岡くんに話しかけないことは黙っておこう。うん。
そんな私達を横目に天晴先輩は玄弥くんをそっとおろした。
「あの、本当にありがとうございました!!」
「いえいえ~。しょうがないですわ。小さな子供ですもの。」
先輩は玄弥くんを責めたりせず、ただそう言った。……かっけぇ。
「……ありがとう、ございました」
実弥が頭を下げて礼を言う。…どこか罰が悪そうだ。
「良いのよ。あの、この後暇かしら。」
実弥が頭をあげた。私と冨岡くん、そしておばさんで顔を見合わせる。
「……ちょっと、話さない?」
おばさんはなぜか顔を赤くしていた。
……変な誤解をしないようにと天晴先輩が男であることを耳打ちすると、目を丸くしていた。
「実弥、行ってきたらいいわ。玄弥と帰るから。」
「…いや、俺は…。」
「いいのよ。友達とゆっくりしなさい。」
おばさんはそう言って、玄弥くんの手をしっかり握って帰っていった。
「さ、カフェに行きましょう!とっておきの場所よ!」
天晴先輩は明るく言った。
冨岡くんが何だかワクワクしていて、それを見た実弥が嫌そうな顔をしていた。