第28章 絆
というわけで。
日曜日。私はカナエとも訪れたあのショッピングモールにいた。
待ち合わせ場所に行けば冨岡くんがいた。シャツとズボンというシンプルスタイルなのに、なぜこんなにも格好いいんだ。忘れがちだけれど、冨岡くんは顔が良い。
「おはよう……かわいい服だな。」
「えっ…、あ、ありがとう、おはよう…」
か、開口一番に褒められるとは…。
今日は自分で選んだ服。ショートパンツにフレアシャツ。……イケメンに褒められると自信つくなぁ。
「あら、おはよう。」
天晴先輩の声がして二人で振り替える。
いつもより背が高いなぁと思っていたらばか高い厚底のサンダルをはいていた。高い背によく合うロングスカート。そしてまさかの肩だしのシャツ。
「「……おはようございます」」
本当に男なのだろうか。
男の格好をすれば男に見えて、女の格好をすれば女に見える。なんか魔法みたいだ。
「はい、じゃあ行きましょう!」
私達はそうしてショッピングモール内へ入っていった。安城殿の言う雑貨屋は三階に合った。
アンティーク風と言うか、雰囲気のあるお店だった。……普段絶対入らないようなお店だ。
「きゃ~ん!新作出てるわ!!かわいいッ!!!ね、ちょっと私見てくるわ!」
天晴先輩は目を輝かせて入っていく。
私と冨岡くんは意を決したように一歩踏み込んだ。女子二人と男子一人のグループなので冨岡くんが浮いたように見えるかもしれないが、本来は女子一人の男子二人である。私が浮きに浮いているのだ。
そんな中で冨岡くんは熱心に髪飾りを見ていた。
「買うの?」
「あぁ、姉さんに。」
……兄弟、いたんだ。知らなかった。いいなぁ。私は……まぁ。
いないようなもの、だよね…。