第28章 絆
口も聞いていないことを話すと、カナエは私を励ましてくれた。
「今はまだお互いに気持ちの整理がつかないだろうし、落ち着いたら話したらいいんじゃないかしら。私、協力するわ。」
「…ありがとう、カナエ。」
そこまで話して私達は教室に戻った。
扉付近でアマモリくんとすれ違った。私は彼の視線を追った。カナエを見ていた。
刹那。
ギラリと目が光った。私は驚いて立ち止まってしまった。
が、カナエが私の背中を押した。
「平気よ、さぁ、いつも通りにして。」
何でもないようにそう言った。
私は再び歩きながらも心臓が嫌に音をたてていた。
何だ、今の。何であんな目でカナエを睨んだんだ。
「……カナエ、さ、さっきの」
「…。」
カナエは何も話さない。彼女もよくわかっていないのだろう。
アマモリくんが私に執着している……。そうカナエは言っていたけれど、果たしてそれは本当なのだろうか。
私は初めてアマモリくんのことを怖いと思ってしまった。