第4章 煌めき
家に帰った。父と母が家にいた。
「、本当に何もなかったな。」
父が私の顔を見て一番に言った。
上等なスーツを着ていた。まさか、その格好で行ったのか。さぞ浮いただろう。
「あなた、クラスくらい教えてよ。わからなかったじゃない。」
「言ったよ。母さんがしつこく聞いてきたから、何回も言った。」
母が黙り混む。顔を覆ってメソメソしだした。
箱入り娘中の箱入り娘だから、否定されるとすぐこうなる。
「美術部だったな。絵しかなかったじゃないか。軽音部や演劇部に入ってもっと目立てばいいのに。目立ちたいと思わないか?父さんの子だ。わかるだろう。」
全くもってわからない。
「あんなに毎日部活に行くから、何かあると思うじゃない。ずっとあの絵を描いてたって言うの?時間の無駄よ、あぁ、将来が…。」
母は泣きじゃくりながら言った。
「何を笑ってる。」
にこにこにこにこ。
私は笑顔を張り付ける。あなた達のおかげで身につけたこの笑顔のおかげで、前世では胡散臭いで有名になりましたよ。
「吹奏楽部の演奏は明日だ。出るんだろ?出るんだろうな。」
「美術部優先したから出ないって言ってんじゃん。」
「何で絵なんだ。父さん達に晴れ舞台を見せてくれよ。」
この人たちは、私を着飾りたくて。
晴れやかな目立つ人にしたくて。
それを見て手を叩きたくて。
褒め称えたくて。
周りに言いふらしたくて。
優越感に浸りたくて。
あぁ、変わっちゃいません。
死んでも、バカは治りません。
「じゃあ、晴れ舞台に映えるようにしてくれる?殴って顔を腫らしたりしないでさ。さようなら。」
私は階段を登った。父親が後ろから追いかける。髪の毛をつかまれた。
痛いけど叫ばない。痛いなんて言わない。黙って笑ってる。
すみません、慣れっこなので。
私、慣れてるので。
何されても、笑っていられるんですよ。