第26章 一枚絵
文化祭が始まった。
私はカナエと校内を巡った。中等部の生徒は高等部の校舎へ行けない。けれど、文化祭の日は手続きをすれば高等部の校舎へ行ける。
カナエとは事前に手続きをすませていたので一緒に入った。
「キリキリちゃーーんっ!」
「ぐぅえっ」
「きゃー!!!」
なぜこうも出会い頭に一発攻撃をしかけないと気がすまないんだ奴らは。
私の背中を思いっきりひっぱたいてきたアマモリくんに殺意すら覚えた。あとカナエもきゃー!とか言ってるけどあんたが抱きついてくるときもこんなんだからね!?
「てめえ!急に走り出すなよっ!!」
「ごめんやん不死川!美人が見えたら一発しばきたいやん?あとお前に迷惑かけときたいやん?」
「死ねッ!!!」
「わー!ストップストップ!!文化祭で問題起こすのやめてー!!!」
私とカナエは慌てて実弥を押さえつけた。
高等部の人たちの目がやばいでしょうが!!何やってんのよ!!
「おらっ、いくぞアマモリ!」
「えー。折角キリキリちゃんと会えたのにぃー。」
アマモリくんがばいばーい、と手を振る。私は苦笑しながら手を振り返した。
「ねぇ…、アマモリくんって…。」
「本当に面白い子だよね~。」
「違うわよ。あなたのこと好きなんじゃないの?」
私はぎょっとしてカナエを見た。その顔は正しく真剣そのものであった。
「何かに執着してるのよね、あの子」
「………」
それを聞いて、何だかそんな気がしなくもなかった。そういえばよく声かけてくれるような。
「でも執着ってのは違うくない?仲良くしてくれてるだけだよ。」
「は知らないのよ。あの子、私が隣にいるとすごい目で睨んでくるんだから。」
カナエがため息まじりに言う。睨む?アマモリくんが?
そんなことってあるんだろうか。今度会ったら確かめなきゃ。アマモリくんはすごく良い人なんだから、カナエにもわかってもらわなきゃ。