第25章 苦手人
安城殿は35歳の時に死んだ。私は15、6歳とかだったはず。
…うまれかわったことにより年齢差がだいぶバグっているが。
安城殿は私の目の前で死んだのだ。今でも光景が思い出せる。
が…。それを忘れられるくらい、今目の前にいる安城殿は元気だった。
「しっかしまあ…私以外にも生まれ変わった奴がいるとはねぇ……知らなかったわ。」
「……私がいた時代の子達はけっこういるんですけど。」
「そうなの?別にどうでもいいけど。同期の柱のアイツらに会ったって、もう喋ることなんてないわよ。前世であんなに語り尽くしたんだもん。」
……またまた格好いいことを…。
性格がどこまでも男らしいんだよな。安城殿は誰にでも好かれていたっけ。
「安城殿、このことは…」
「わかってる、これよね」
安城殿は口の前で指をクロスさせた。
「大丈夫よ、霧雨ちゃん。私達…あなたが入隊した頃からあなたをしるメンバーはあなたの罪の真相を知ってるもの。」
「…メンバーって」
「うふん」
……何というか、調子の狂う人だな。
「あぁ、でも私は気にしないから。鬼殺隊のお仲間になら言っていいわよ。」
「気にされた方がいいと思いますよ…」
「んも~、前世なんて言って信じるバカいるはずないじゃないの!」
……………
…確かに……
え、まって、今まで気がつかなかった。そうだ。鬼を斬ってたんです、前世ではねーなんて言ったところで信じる奴はいないだろう。
今まで神経質に気にしていたのがバカらしい……。
「あら、頭が固いのは相変わらずかしら?」
「否定できません…」
「まぁいいわ。あ、これ渡しておくからよろしくね。」
そう言って一枚の紙を渡してきた。
……スマホのアプリのアカウント情報…?
「気の知れたお姉さまだと思って気軽に何でも相談して。同じ三美女同士仲良くしましょう?」
「……その三美女とやらをやめたいんですが」
「それは相談しないでちょうだい」
キッパリと断られてしまい、私は肩を落とした。