第25章 苦手人
こんなことがあった日にはアイツに言わないと気がすまない。そう、アイツ。
私は家に帰るやいなや物置部屋に直行した。
「実弥ーッ!!!!!!」
「んだよ」
私が雨戸と窓を開けると実弥がちゃんと出てきてくれた。
「あ、あのね!会ったの!!鳴柱っ!!」
「あぁ?…鳴柱……?そんなのいなかっただろ。」
「私の知ってる人!」
「……待て、興奮すんな。落ち着け。一から話せ。」
実弥は支離滅裂な私の話もちゃんと聞こうとしてくれた。私は今日あったことをこと細やかに(伊黒くんの秘密を除く)伝えた。
「………なるほどねぇ。その安城ってのがお前の知り合いってか。」
「そう!安城殿、男なのに三美女なの!まじかっけえ!!」
「……何がだ?」
大興奮の私に実弥は呆れ気味だったが、乱暴に否定はしなかった。
「実弥も会いに行こうよ!安城殿、ほんっとうに綺麗なんだよ!」
「何で野郎を見にいかなきゃなんねえんだァ!?」
「違うよ!男で女なんだもん!」
「あぁ!?」
二人で窓越しに叫び合ったからか、私はお祖母ちゃんが。実弥はお母さんが何事かと声をかけてきたのでその日は退散した。
私は安城殿にメッセージを送り、いつか必ずかつての同僚を会わせると約束した。