第23章 面影
二人でとことこと歩く。
「…えっと……どこに、向かってるのかな…?」
「すまない、もう少し」
すまないって…さっきからそればっかり!
これって…過去の記憶、あるってことでいいんだよね……?…私、何かした?嫌われていたことは自覚していたから余計なことしなかったけど…。
うぅ、どうしたらいいんだろう。
到着したのは、教室。これ、彼のクラスだろうか。夏休み中の教室はガランとしていて寂しい。
「あ、あの、煉獄くん…だよね?」
「ん?そうだが?」
中へずんずん入っていく彼に対し、私は入り口で止まっていた。
「……前世の記憶…あるってこと…?」
私は勇気を出して聞いてみた。とにもかくにも確かめなければ始まらない。
「ある」
煉獄くんはどっしりとかまえていた。
私は頭を抱えたかった。
「あのね、煉獄くんがどう思っているかわからないけど…私は前世の私を知らない人の前では前世のことを隠しているの。だからあんな風にあけっぴろげにされると困るんだ……け………どぉ……?」
煉獄くんはにこにこ笑って私の方に近づいてくる。
「わかった、気を付けよう!とりあえずこっちだ!」
腕をつかんで中までズルズル引きずっていく。
「……どうぞ…もう好きに蹴ったり殴ったり……」
私は諦めて覚悟を決めた。
何かをした覚えはないけれど、何かをされるほどの罪を犯したのは確か。
「霧雨さん!」
「はい…」
あぁ、でもグーパンは嫌かな…。殴るなら顔面だよね。歯って欠けちゃうのかな。歯が欠けるだけですんだらいいな。
「好きだ!」
「……」
……………?
「付き合ってくれ!!」
えええええええええええええええええええええええええ!?