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キメツ学園【鬼滅の刃】

第19章 別れ


「ここやで」


アマモリくんが指をさす。
確かに特別学級と書かれていた。


「…中、まだいはるんかな」

「います…」

「……感じるんか?」


私は頷いた。


「ほな、いはるんやろうな」

「…えぇ」

「俺、外で待ってるわ」

「…アマモリくん」

「何?」


私は息を吸い込んだ。


「本当に、ありがとう。」


アマモリくんは目を点にしたけれど、にっこり笑った。


「ん。ほなこれ持っといたるわ。」


私の手の中の風車を彼はそっと持ってくれた。


カラカラカラ、カラカラカラ。


開けられた廊下の窓から吹く風で、風車が揺れる。


「……元気でね」

「ん。向こうで前世の俺も首を長くして待ってるわ。」


アマモリくんは、寂しそうに笑った。

これで最後だと、お互い何となくわかっていた。


私は教室のドアを開けた。


中には、たった一人。


椅子に座っていた。
黒板には卒業おめでとうと書かれていたが、彼は読むことができない。


「…誰だ?」


音に反応してこちらを見る。


「……行冥…」


声が震えた。

会えた。


また、会えた。


「………?」


信じられない。
そう言うように。


「……思い出した…とは…少し違うようだな…」

「……はい。私は…前世の私です。」


行冥は恐る恐るといったように私に手を伸ばした。

私は彼の隣の席に腰を下ろして、その手を取った。


「…本当に…お前なのか…」

「はい」


行冥は手を私の頬に移動させた。


「……私…今日消えるの。」

「…!?」

「……だから最後に…現世の私が、機会をくれたんだわ。」


私はぐっと涙をこらえた。泣きたくない。さっきあれだけ泣いたのだから。
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