• テキストサイズ

キメツ学園【鬼滅の刃】

第19章 別れ


「…本当は……わかってるんでしょう……?」


私は、ついにそれを口にした。


「あなたは私の知っている行冥じゃない。私の知っている彼は、もうとっくに死んでいるんだもの。あなたは記憶があるだけで…あの時代の行冥ではない。」

「……」

「現世の私を見ればわかる。前世と現世の霧雨は全くの別人。……なぜか、私は…ここにいるけれど。でも、もう行くところに行かなくては。」


辛い記憶も何もかもを持っていこうとしたのに。
現世の私が、それを否定した。


「…私の記憶は…現世の私に残すつもりはなかったの。けれど、現世の私は…記憶が欲しいと言った。…だからね、置いていこうかと思うの。」

「…そうか」


私はでも、と続けた。


「行冥…あなたへのこの気持ちは……私が持っていくわね。現世の私には残さないつもりよ。」


我慢できなかった。
私はまた涙をこぼしてしまった。


「だって、向こうであなたが待っているんだもの。」


私がそう言うと、行冥はそっと涙を拭いてくれた。


「……わかった…。だが私は…変わらずお前を愛している。」

「…私、死んでるわよ。」

「あぁ。生まれ変わっても、前世のあなたに恋をしたんだ。」

「……それで、いいの?」

「良いんだ。」


行冥が微笑む。私も微笑んだ。


すると、そこで…。



私は今まで感じたことのないくらいの睡魔に襲われた。

ふらり、と体が倒れる。咄嗟に行冥が支えてくれた。


「」

「…眠いわ」

「……そうか」


頬に涙が垂れる。私のじゃない。行冥の涙だ。相変わらず泣き虫なのね。ごめんなさい、私、もう拭いてあげられないわ。
/ 457ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp